社会人博士の深層学習ブログ

深層学習を使った環境音認識研究で、働きながら博士号を取得しました

【生産性を上げる方法】仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法〜脳を最適化すれば能力は2倍になるを読んで考える

「脳を最適化すれば能力は2倍になる 仕事の精度と速度を脳科学的にあげる方法」の画像検索結果"

この本は、仕事や勉強において、脳のパフォーマンスを最大限発揮するための方法について、いくつかの脳内物質にフォーカスを当てて、科学的に解説されています。

 

私自身も、仕事でのマネジメントや自身の業務、社会人博士課程の勉強をするに当たって非常に参考になった本です。脳内物質と聞くと難しそうな印象を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、この本は非常に読みやすく書かれています。また、根拠がちゃんと記載されているので、読んでいて非常に納得感があります。

その中で、特に重要と思った脳内物質とその効果、実践すべき内容についてまとめます。

 

ドーパミンとノルアドレナリン

仕事や勉強をする上で、もっとも大事な脳内物質の一つはドーパミンです。ドーパミンは報酬を司る脳内物質であり、目標を達成したときなどに分泌されます。ドーパミンは、期待感を感じるだけでも分泌されることがわかっているので、一度何かを達成しても、次もまた達成感を得たいというモチベーションにつながります。

 

一方、アドレナリンアスリートが試合中にアドレナリンということは聞いたことがあるかもしれませんが、ノルアドレナリンもまた、プレッシャーを感じると分泌される脳内物質です。プレッシャーによって分泌されたノルアドレナリンはワーキングメモリを増やし、仕事や勉強の効率を高めてくれます。

みなさんも、仕事で上司にプレッシャーをかけられる、宿題の締切が迫ってきて、いつも以上の力を発揮した経験があるかもしれませんが、これはノルアドレナリンのおかげです。

ただし、ノルアドレナリンはストレスホルモンの一種であり、体にはダメージを与えます。同じくストレスホルモンの1種であるコルチゾールは免疫力を低下させ、慢性的にストレスを感じる状況が続くと、いつか体調を崩してしまいます。

また、あまりにも長期間プレッシャーをかけ続けられてしまうと、次第にノルアドレナリンは分泌されなくなります。いわゆる、上司にガミガミ言われすぎて何も感じなくなってしまう状態です。

したがって、ここぞというとき以外は、自分にプレッシャーをかけすぎないほうが懸命であり、自分自身が充実感・達成感を感じることができる仕事の進め方を心がけるほうが、長期的には確実に成果があげられます。

 

セロトニンとメラトニン

セロトニンは癒やしの物質とも言われ、分泌量が少なくなるとうつ病になると言われています。セロトニンを分泌させる方法は非常にシンプルです。「朝日を浴びる」ことと「リズム運動」です。

メラトニンは睡眠に関わる物質で、睡眠時に日中の体のダメージを修復する役割があります。ビタミンEの2倍の抗酸化作用があるとも言われ、アンチエイジングのためにはまずは睡眠と言われるのもメラトニンのおかげです。

メラトニンは、実はセロトニンから作られており、朝日を浴びてから約14時間後、暗くなってから生成されます。したがって、朝しっかり朝日を浴びる・夜にスマホなどの光を浴びないといったことを守らないと、睡眠の質が下がってしまいます。


アセチルコリン

アセチルコリンは記憶やひらめきに関係があると言われており、午後〜夜に活発に分泌されます。睡眠中に記憶が整理されるという話は聞いたことがあるかもしれませんが、具体的にはアセチルコリンが記憶と記憶を結びつけます。この課程で、神経細胞の結びつきによって、突飛な夢を見たりアイディアがひらめいたりします。

また、タバコのニコチンはアセチルコリンと構造が似ており、どちらも脳内のニコチン受容体に結合します。ただし、ニコチンはわずか30分で半減してしまうため、またすぐにタバコを吸いたくなってしまうのだそうです。さらに悪いことに、アセチルコリンを分泌せずとも、ニコチンが外部から供給される状況が続くと、アセチルコリンの分泌量も低下してしまいます。記憶の定着やアイディアのひらめきのためにも、タバコはあまり良くなさそうです。

ちなみに、アルツハイマー病とも非常に関連が深く、アルツハイマー病患者はアセチルコリンの分泌量が下がっているそうです。

 

まとめと感想

著者いわく、脳内物質の説明については、正確さよりもわかりやすさを優先して書いてくれています。(例えば脳内物質という言い方も正確ではなく、正確には神経伝達物質やホルモンなど明確に定義があるようですが)

ですが、我々社会人が実践するに当たっての根拠としては非常に十分かつわかりやすい説明がなされており、納得感を持って改善案を実践することができます。

特に、部下を持った際にはプレッシャーをかけるばかりでは1ヶ月と持たないことや朝日を浴びるという習慣を作るだけでうつ病の防止や睡眠の質向上につながるということを理解しているだけで、日々の生活を改善することにつながります。

本の中ではもう少し詳しく脳内物質についての説明や実践すべき行動や食事について書かれています。興味があれば、ぜひ読んでみてください。