社会人博士の深層学習ブログ

深層学習を使った環境音認識研究で、働きながら博士号を取得しました

【信号処理】コヒーレンス関数から何が言えるか

 

先日の記事で、伝達関数測定の際、どのようにコヒーレンス関数を見ればよいのかを考えました。

 

伝達関数測定とコヒーレンス関数とは - メーカー社員が0から人工知能分野の博士号を目指す

 

 

某サイトによると、コヒーレンス関数が低くなっていまう理由としては、「システムが非線形」、「信号の時間遅延」などが考えられると書いてあります。。

 

 

システムが非線形はいいとして、「信号の時間遅延」がどうも腑に落ちなかったので、詳しく調べてみました。

 

そもそもコヒーレンス関数とは

そもそも、コヒーレンス関数とは、システムが線形であると仮定し、以下の式で表せるとした時、

 Y = X × H + N   (X:入力信号、Y:出力信号、H:伝達関数、N:ノイズ)

 

XとYの相関係数のようなものを以下の式で定義されております。

     コヒーレンス関数 = |Pxy|2 / (Pxx×Pyy)

f:id:ys0510:20191103151726g:plain

 

クロススペクトルの2乗をXとYのパワースペクトルでそれぞれ割っています。

つまり、信号が減衰しようが位相が遅れようが、それは影響しません。

 

 

それなのになぜ、信号の時間遅延が影響するのか?

では、なぜ、某有名サイトに、「信号の時間遅延」と書かれているか。

 

 

どうやら、位相遅れは影響しないが、フーリエ変換をするための「窓」には大きな影響を受けるためだということがわかりました。

 

 

フーリエ変換とは、定常定期な信号を解析するためのものですので、

永遠分の定常信号を解析することはできないので、窓に区切って解析しますが、

窓内の信号が永遠に続くという前提で、フーリエ変換がされます。

 

 

つまり、反射や残響等で、長い時間の伝達特性を考慮しなければならないのに、

短すぎる窓を使っていたりすると、窓の外の残響成分がコヒーレンスを下げる要因になってしまうようです。

 

 

 

 

システムが大規模になると、複数の伝達経路があったり、伝達関数もちゃんと理解して測定しないといけないようです。