先日の記事で、伝達関数測定の際、どのようにコヒーレンス関数を見ればよいのかを考えました。
伝達関数測定とコヒーレンス関数とは - メーカー社員が0から人工知能分野の博士号を目指す
某サイトによると、コヒーレンス関数が低くなっていまう理由としては、「システムが非線形」、「信号の時間遅延」などが考えられると書いてあります。。
システムが非線形はいいとして、「信号の時間遅延」がどうも腑に落ちなかったので、詳しく調べてみました。
そもそもコヒーレンス関数とは
そもそも、コヒーレンス関数とは、システムが線形であると仮定し、以下の式で表せるとした時、
Y = X × H + N (X:入力信号、Y:出力信号、H:伝達関数、N:ノイズ)
XとYの相関係数のようなものを以下の式で定義されております。
コヒーレンス関数 = |Pxy|2 / (Pxx×Pyy)
クロススペクトルの2乗をXとYのパワースペクトルでそれぞれ割っています。
つまり、信号が減衰しようが位相が遅れようが、それは影響しません。
それなのになぜ、信号の時間遅延が影響するのか?
では、なぜ、某有名サイトに、「信号の時間遅延」と書かれているか。
どうやら、位相遅れは影響しないが、フーリエ変換をするための「窓」には大きな影響を受けるためだということがわかりました。
フーリエ変換とは、定常定期な信号を解析するためのものですので、
永遠分の定常信号を解析することはできないので、窓に区切って解析しますが、
窓内の信号が永遠に続くという前提で、フーリエ変換がされます。
つまり、反射や残響等で、長い時間の伝達特性を考慮しなければならないのに、
短すぎる窓を使っていたりすると、窓の外の残響成分がコヒーレンスを下げる要因になってしまうようです。
システムが大規模になると、複数の伝達経路があったり、伝達関数もちゃんと理解して測定しないといけないようです。